福岡県南部の「あまおう」の多収穫りが、私が現代農業に記載された栽培法であることが知られ、有明海沿岸部の農家の間で記事が出回っているようですが、現代農業の記事と合わせてポイントとなることを書いてみたいと思います。
① 肥料は唯減らすだけでなく、土壌バランスを整える必要があること。この土壌バランスを整える事が出来る能力がある人が現実にはほとんどいません。
② 1月までに3番花房を開花させること、こうすることで2月10日前後になると休眠打破して、3番花房がうまく肥大し2月中に4番花房まで開花させることが出来るようになり、坪70パック以上を穫ることが出来るようになります。
③一般的指導機関では、ジベレリン処理を行い11月10日頃より電照を開始する様に指導されている様ですが、ジベレリン処理をすれば葉柄の寿命が短くなり、根に負担がかかり根の減少を招くという副作用が見落とされている様です。
電照は、一般的に何時間点灯という風に考えている生産者が多いと思いますが、苺というものは草丈25cmになると、次に上がってくる花房が小さくなると観察眼を持たなければなりません。現代農業誌上でも平気で草丈30cmなんてことを書いている状況に出くわしますが、観察眼が不足しているというか、収量が減少してしまうという感覚が麻痺しているというか何ともいえません。
④あまおうという品種は電照に過敏に反応してしまう品種であるにもっかわらず、ジベレリン処理、電照ということを何にも疑問に思わないで栽培している生産者が、高収量をあげるなんて夢のまた夢です。
草丈を22~24cmに押さえて展葉を早くするとクラウンが肥大して、多収になるということを誰も気が付かないなんて、ワサビ抜きの寿司みたいなものです。
《積算温度 これって本当?》
開花から収穫までは、積算温度で決まるといわれますが、これって本当なんですか、何か証明する手段でもあるのでしょうか?これって何の根拠もないことです。ただ証明する手段がないからです。
証明、フロリ源を週1回使用する場合と使用しない場合とでは、フロリ源使用の方が収穫が明らかに早くなります。しかも果実がより大きく品質も向上しています。これはフロリ源を使用すると展葉速度が早くなるからと思われます。
フロリ源使用でどれ程展葉速度が速くなるかという例で「さちのか」の生産者で3番花房が11月中に開花を始めました。「さちのか」は定植から開花まで1枚展葉するのにおよそ11日かかりますから、どんなに早く3番花が咲いても1月に咲けば早いほうですが、11月開花ですから普通では考えられんせん。これは、フロリ源の使用法を熟知している為に7日で展葉させている為にこのようなことが出来るのです。この生産者Kさんの苺は食味が非常に良いことと大きいことで大変有名です。
《土壌バランス》
PH 5.5 ・ NO³ 5.0 ・ P₂O⁵ 80 ・ CaO 300 ・ K₂O 57 MgO 58
これは神戸の生産者が送ってきた土壌診断の類値です
これは大阪のJ社が行ったもので、ランド・・・ランド・・・を投入 肥料・・・となっていました。
これを見て何が読み取れますか?
①花房間の展葉数が多い
②冬場に生育がストップする
③がく枯れがでる
④果実の肥大が悪い
⑤株が大きくならない
⑥チップバーンが出る
①②⑥は NO³ からわかる
③④⑤は K₂OとMgO の関係からわかる
私の処方は週1回亜鉛2錠にがり30ccカーボリッチ(重炭酸カリウム)灌水時まいに100~200gです。亜鉛で NO³とP₂O⁵ の抑制・にがりで亜鉛の副作用の抑制
カーボリッチで、MgO の過剰害の抑制とカリの吸収をよくする。
CO₂の効果で生育促進効果をねらう
カーボリッチはPHが低い場合は使用出来ますがPHが6.5以上では硫酸カリを使用したほうがよいでしょう。(PHが上昇するから) 実に安上がりなものです。(5千円程度)
この生産者がJ社に支払った費用は30万円以上です。まるでボッタクリ!!
※チップバーンは一般的にカルシウム欠乏症であるといわれますが、カルシウムは充分あるのに何故と思われる生産者は多いと思います。
これは初秋から休眠打破する迄の期間に多くみられます。また、チッソ濃度が高い場合に多くみられます
苺はこの期間は肥料を選択することが出来ず、溶けている肥料をそのまま吸収してしまいます。そこで、消化出来るだけの量しか吸収しなくなり、この為水分不足が起こりチップバーンが発生すると考えられます。肥料濃度を下げるとチップバーンは、解消してしまいます。
《嬉しい報告をします。中国地方の生産者Kさんが家を建てました。》
この生産者は、大阪から越して来て農業を始められ、私のところにならいに来て4~5年で、しかも20aの面積でしかも難しいといわれる高設栽培です。特にここ2年間は成り始めから終了まで、ずっと成りっ放しだそうです。
そのやり方をここに公開したいと思います。
肥料1 メガソル2号:7500~7800倍
肥料2 硝酸カルシウム:14000倍
肥料3 フロリ源:10000倍 フルボ酸:20万倍
上記を 常に灌水
3日1度 フロリ源:100cc フルボ酸:20~30cc を煙霧機で散布
これを最初から最後まで続けるだけです。これをやるだけでどんな苺も馬鹿なり間違いなしです。
《嬉しい報告をもう一つ》
関西地方のHさんが清香を栽培して一株当たり手取り2千円を達成しました。水に問題がある中で、よく頑張ったものだと思います。Hさんは清香栽培が今年で5年目で、水の問題も解決する方法で今年は2千500円を目指すそうで、3千円まで頑張るといっています。
HさんもKさんのやり方に変えられた為もっともっと収量・品質が向上し、3千円どころか4千円まで頑張ってもらいたいものです。